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町村議会トピックス

 

令和2年9月 地方議会・議員のあり方に関する研究会 報告書

なり手不足解消へ住民参加や多様性確保必要 住民の信頼や関心を高める取り組みを


 総務省主催の「地方議会・議員のあり方に関する研究会」(座長・只野雅人一橋大学大学院教授)は令和2年9月、これまでの議論を踏まえ報告書をまとめた。

 報告書は、議会に対する住民の関心が低く、議員のなり手不足が生じている背景には、議会に対する理解や信頼が得られていない面があると考えられていることから、住民の議会や議員活動に対する認識を深め、その役割に十分な理解を得ることが重要だと指摘した。

 また、現在の議会の構成は必ずしも多様な民意を反映するものになっていないという指摘があることから、住民により納得感のある合意形成を進めていくために、意思決定の過程で多様な層の住民との意思疎通を充実させていく必要があるとした。

 報告書のとりまとめに当たっては、各方面での幅広い検討に資するため、一定の結論や方向性を出すことにこだわらず、各構成員から述べられた様々な意見を幅広く紹介することに努めたとしている。

 研究会は、議員のなり手不足が深刻な状況となっていることから、今後の議会・議員のあるべき姿や議員のなり手不足の要因とその対応を幅広く議論することを目的に、令和元年6月、総務省に設置され、学識者と都道府県、市、町村の議長会関係者で議論を行ってきた。

【資料】
地方議会・議員のあり方に関する研究会 報告書(令和2年9月)


なり手不足の検討には住民の理解が前提

 「議会の現状と課題」では、投票率の低下や無投票当選の増加の傾向が強まっており、また議員の構成では、性別や年齢構成の面で多様性を欠いていると指摘した。

 それらを踏まえ「本研究会の視点」として、議会がその重要な役割を十分に果たすためには、議会が多様な層の住民から選出された議員で構成される必要があるとし、とりわけ住民にとって納得感のある合意形成を進めていくためには、議会の意思決定に住民の多様な意見を反映させることが重要であるとした。

 一方で、議会の位置づけや議員の職務等を法律で規定し、住民の理解を深め活性化につなげるといった意見に対しては、様々な意見があり、引き続き検討することとされた。

 また、議員のなり手不足の要因に対応する視点には、その阻害要因を取り除くだけでなく、なり手を増やすための促進の方策を検討することが重要であるとし、その際には、議会に対する住民の理解を得ていることが前提であるとした。


住民参加は議員のなり手の長期的・継続的な涵養に

 「議会に対する住民の理解」では、議会への住民参加の取り組みとして、議会運営等に関し、住民から意見・提言を聴取する「議会モニター」制度や、議会と住民が協働して政策づくりを行う「政策サポーター」制度などの事例を示し、こうした取り組みは議員のなり手を長期的・継続的に涵養することにつながると指摘した。

 また、議会に多様性を確保することで、議員のなり手不足に対応するとともに、住民の議会への信頼や関心を高めることにつながるとし、ハラスメント対策等を通じた環境整備や欠席事由の整備などを通じ、女性をはじめとする多様な層の住民の参画を促進するべきであるとした。


議会・議員の活動や報酬の実態に住民の理解を深める工夫や方策を

 議員のなり手不足の要因として、研究会で議長会より意見や要望があった事項から、「議員のなり手不足の要因と対応の方向性」として、項目ごとに要因とその考え方を整理した。

 「時間的な要因」では、多様な層の住民が議会に参画しやすくなるよう環境を整備する必要があることから、夜間・休日等の議会開催や通年会期制の活用など、柔軟な議会開催等の工夫を引き続き講じる必要があるとした。

 「経済的な要因」では議員報酬の金額が団体の規模で大きく隔たりがあるとしたうえで、主として小規模市町村はそれだけでは生計を維持できないほどの低水準であり、そのことが例えば、地域に貢献したい思いがある若い世代であっても今の職業を離れて立候補するところまでつながらないほど議員のなり手不足の要因になっているとの指摘があるとした。

 他方で、地方自治法には、議員報酬の額は条例で定めると規定されており、住民の合意がなければ引き上げることは難しいという意見や、議会・議員の活動が住民に知られていないことが、住民の理解や信頼の低下を招いているとの指摘もあるとした。

 このため、議会・議員の活動や議員報酬等の実態について、住民の理解を深めるための工夫や方策を検討する必要があると指摘した。

 「身分に関する規定」では、兼業・請負の禁止について、「請負」の範囲を明確にするとともに、法人の請負の規制内容を踏まえ、個人の請負に関する規制を緩和することや、長等と同様になるよう請負禁止の範囲を緩和することについて検討することが考えられるとした。

 
議会のデジタル化への対応・団体規模に応じた議会のあり方 今後の検討必要

 議員のなり手不足に関し、多様な人材の参画を促すうえで選挙制度の見直しが必要との意見があることから「地方議会への多様な人材の参画と選挙制度」として、将来を見据えた選挙制度のあり方について議論が行われた。

 投票方式のあり方では、複数人を選ぶ制限連記制を導入することで、ペアやグループ単位で選挙運動を行うことを可能とするといった意見や、都道府県議会議員の選挙について、ある程度政党化が進んでいる実態を踏まえ、比例代表選挙の要素を加味するといった意見が出された。

 また、選挙運動では、有権者と候補者のコミュニケーションを活性化させ、選挙への関心を高めるためにも、選挙運動の自由度を高めるといった意見や、新人候補者について有権者が知る機会を確保するためにも、期間の見直しを検討すべきといった意見が出された。

 このほか、クオーター制の採用や、市町村議会議員の便乗補欠選挙を、国政選挙や都道府県の選挙が行われる場合にも行うことができることとするといった意見が出された。

 最後に「今後の検討の方向性」として、今後も議会のあり方、議員の求められる役割、多様な層の住民の参画などについて幅広く検討する必要があるとし、その際には、新型コロナウイルス感染症への対応も踏まえたデジタル化への対応や、団体規模に応じた議会のあり方についての新たな選択肢の提示等も含めて検討することが考えられるとした。


 

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